6.1 波音の中で、時間がほどけていく

第6章 ジョムティンビーチにて、親友との再会

ジョムティンの午後。 空は薄曇り、風は穏やか。 先生は、ビーチ沿いのカフェで待っていた。 そこに現れたのは、中学時代からの親友——ユウスケだった。 彼は家族を連れて、タイ旅行の途中でジョムティンに立ち寄った。

「変わってないな」とユウスケが笑った。 「いや、変わったか。なんか、風みたいになってる」

先生は笑いながら、彼の子どもたちにジュースを渡した。 小さな手がグラスを握る様子に、時の流れを感じた。

ビーチでは、子どもたちが砂を掘り、奥さんが写真を撮っていた。 先生とユウスケは、波打ち際を歩きながら、昔話を始めた。

「俺さ、16歳からバイク乗ってたじゃん」 「覚えてるよ。あの時の原チャリ、夜の峠道」 「17の時はTZR250だった。あれで街を抜けて、海まで走ったこともあったな」 「お前、あの頃から“自由”に投資してたんだよな。金じゃなくて、時間とリスクに」

先生は、静かに頷いた。 「今は、リスクを“問い”として見るようになった。 昔は、ただアクセルを開けてたけど、今はその先に何があるかを考えるようになった」

ユウスケは、少し黙ってから言った。 「俺は、家族を持ってから、守ることばかり考えてる。 でも、お前と話すと、“問い”って言葉が、なんか心に残るんだよな」

夕暮れが近づき、空が金色に染まった。 先生は、ユウスケの家族と一緒に記念写真を撮った。 その瞬間、何かがほどけたような気がした。

その夜、先生は日記にこう記した。

「投資も創作も、問いの連続だ。 だが、親友との再会は、問いを忘れさせてくれる。 それは、答えのような時間だった。 僕は、問いを持ち続ける。 でも、時には、波音の中で問いを手放すことも、必要なのだ」

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