第3章 アジア各地での投資と生活

3.19 サヌールの朝、別れの贈り物

3.19 サヌールの朝、別れの贈り物—余白に宿る記憶—出発の朝、サヌールの空は淡い灰色に染まっていた。 雨季の終わりを告げるような、静かな曇天。 先生は、村井氏のアトリエの前でスーツケースを閉じながら、深く息を吐いた。そこへ、アグンが現れた...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.18 サヌールの若者と沈黙の美学

3.18 サヌールの若者と沈黙の美学—継承されるもの、語られないもの—サヌールの朝は、静かに始まる。 漁師たちの舟が波間を滑り、海辺の寺院では祈りの煙がゆっくりと空へ昇っていく。 トシ先生は、村井氏のアトリエから歩いて数分のカフェで、コーヒ...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.17 サヌールのアトリエ

3.17 サヌールのアトリエ—描かれない風景と、南洋の静けさ—バリ島・サヌール。 空港から車で30分ほどの海辺の町。 クタやウブドの喧騒とは違い、ここには“静けさの品格”があった。トシ先生は、早朝の海岸を歩いていた。 漁師たちが網を引き、遠...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.15 記憶の編集

3.15 記憶の編集—過去をたどり、未来を編む—東京の午後。 書斎の窓から差し込む光が、旅のノートのページを柔らかく照らしていた。 トシ先生は、静かに椅子に腰かけ、過去の記録を一枚ずつめくっていた。カンボジアの市場で出会った果物売りの少年。...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.14 風の手紙

3.14 風の手紙—記憶のページと、次の旅へのまなざし—講義の最終日、教室の空気はどこか名残惜しさを帯びていた。 若い技術者たちは、それぞれの問いを胸に抱え、静かに先生の言葉を聞いていた。 「皆さんがこれから歩む道は、技術の道であると同時に...
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3.13 問いの芽生え

—教えることの終わりと、旅の予感—講義が始まって三週間が過ぎた頃、教室の空気が少しずつ変わってきた。 最初はノートを取ることに必死だった若者たちが、今では先生の問いかけに自分の言葉で応えようとしている。 トシ先生は、それを静かに見守っていた...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.12 東京の教室にて

3.12 東京の教室にて—技術を超えて、人を育てるということ—成田空港に降り立ったトシ先生は、湿度の高い日本の夏に少し戸惑いながらも、 どこか懐かしい空気に包まれていた。 ケップの静けさがまだ耳に残っている。 だが、今は新たな役割が待ってい...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.11 風の継承

3.11 風の継承—若者との出会いと、未来への静かなまなざし—ケップの図書館は、午後になると地元の若者たちが集まってくる。 英語の勉強をする者、静かに読書にふける者、そして、ただ涼みに来る者。 トシ先生は、田村さんと並んで座りながら、彼らの...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.10 静寂の中の問い

3.10 静寂の中の問い—ケップの海辺で、存在と時間をめぐる対話—ケップの朝は、まるで時の流れが緩やかになったかのようだった。 波の音が一定のリズムで耳に届き、ヤシの葉が風に揺れる音が、静かに心を撫でてくる。トシ先生は、海辺のベンチに腰を下...
第3章 アジア各地での投資と生活

3.8 シェアヌークビルの日本人と“金利生活”の記憶

3.8 シェアヌークビルの日本人と“金利生活”の記憶—物価10分の1、金利10%、そして消えた“永遠の楽園”の住人たち—トシ先生がシェアヌークビルを初めて訪れたのは、10年以上前のことだった。 カンボジア南部、タイ湾に面したその海辺の町は、...