第1章 旅の原点と人生の転機

第1章 旅の原点と人生の転機

1.12.旅の原点と人生の転機(12)

「会社を辞めたわけじゃない。 役員になって、英語が必要になった。 でも、中途半端な学び方じゃ通用しないと思って、ここに来た」もう一人は、外資系企業のマネージャーだった。 「英語はツールじゃない。 現地の人と対等に話すには、文化を理解する必要...
第1章 旅の原点と人生の転機

1.11.旅の原点と人生の転機(11)

スパルタ英語学校で出会った“静かな猛者たち”—年齢も肩書きも脱ぎ捨てて、学びに向き合う姿—フィリピンに語学留学したのは、まだ投資家としての輪郭がぼんやりしていた頃だった。 英語を本気で学ぼうと思い、セブ島の語学学校に申し込んだ。 だが、申し...
第1章 旅の原点と人生の転機

1.10.旅の原点と人生の転機(10)

—1997年、カンボジアのジャングルで見た“怖い目”—1997年、僕はまだ“何者でもなかった”。 東京の片隅で、会社員として働いていた。 毎日、満員電車に揺られ、 誰かが決めたルールの中で、 誰かが描いた未来をなぞるだけの生活。 心の奥に、...
第1章 旅の原点と人生の転機

1.9.旅の原点と人生の転機(9)

「実は、俺もやられた。  去年、ベトナムのスタートアップに。  数字は完璧だった。  俺は野望を持ってた。  でも、みんなに反対された。  それでも少しだけ入れた。  結果は──プラマイゼロだった。」彼は、笑った。 その笑いは、悔しさでも、...
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1.8.旅の原点と人生の転機(8)

その夜、僕はバンコクの屋台で、古い友人と再会した。 彼は、かつて一緒にバックパックを背負っていた仲間。 今は、現地企業の財務を見ているという。 スーツの襟元に、少しだけ旅の匂いが残っていた。ビールがぬるくなり始めた頃、僕は語った。 あの銘柄...
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1.7.旅の原点と人生の転機(7)

損失を抱えたまま、僕は次の街へ向かった。 マニラだったか、ホーチミンだったか。 空港の喧騒の中で、僕はノートを開いた。 「予感ではなく、確率。  でも、確率にも罠はある。」 その言葉の下に、細い線を一本引いた。その線は、やがて“問い”になっ...
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1.6.旅の原点と人生の転機(6)

株価は、少しずつ戻り始めた。 ニュースも、街の空気も、好転していた。 僕は、静かに期待した。 数字が、再び整い始めたように見えた。でも──それは、罠だった。 再浮上の瞬間、株価はさらに下がった。 まるで、誰かが“希望”を餌にしていたかのよう...
第1章 旅の原点と人生の転機

1.5.旅の原点と人生の転機(5)

じわじわ上がり安心し始めた後、翌週からは、株価は急激に下がっていった。 静かに、確実に。 まるで、誰かが息を潜めて売っているようだった。僕は、画面を見つめた。 数字は嘘をつかない。 でも、数字はすべてを語らない。“裏ルートもある”──その言...
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1.4.旅の原点と人生の転機(4)

上海の街は、情報で満ちていた。 新聞、噂、証券会社の数字。 でも、それらは“点”でしかなかった。 僕が求めていたのは、点と点がつながる“線”。 そして、その線が描く確率だった。予感は、信じない。 空気感と数字の整合性。 それだけが、僕の羅針...
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1.3.旅の原点と人生の転機(3)

小籠包の湯気が消えかけた頃、 僕は街の奥へと足を踏み入れた。 観光客の地図には載っていない通り。 そこに、証券会社があった。看板は色褪せていた。 入口のガラスには、手書きの株価一覧。 中に入ると、蛍光灯の光が白く、 机の上には紙と電卓。 パ...