1.7.旅の原点と人生の転機(7)

第一章 旅の原点と人生の転機

損失を抱えたまま、僕は次の街へ向かった。 マニラだったか、ホーチミンだったか。 空港の喧騒の中で、僕はノートを開いた。 「予感ではなく、確率。  でも、確率にも罠はある。」 その言葉の下に、細い線を一本引いた。

その線は、やがて“問い”になった。 ──情報は、どこまでが事実で、どこからが演出なのか。 ──数字は、誰のために並べられているのか。 ──そして、自分は何を見て、何を見落としているのか。

次の投資先は、フィリピンの不動産だった。 現地の仲介人は、流暢な英語で話した。 「この物件は、外国人にも人気です。  価格は上がり続けています。」 僕は、笑った。 “人気”という言葉は、最も曖昧な指標だ。

僕は歩いた。 その物件の周辺を、朝と夜に。 市場、学校、交通、そして空気。 数字では測れない“生活の線”を探した。

そして、気づいた。 その物件は、確かに整っていた。 でも、周囲の空気が、沈黙していた。 人の流れが、止まっていた。 それは、数字では見えない“死角”だった。

僕は、買わなかった。 損失の教訓が、僕の手を止めた。 それは、恐れではなく、“問いの力”だった。

旅は続く。 投資も続く。 でも、僕はもう“予感”に頼らない。 数字を見て、空気を感じて、 そして、線を描く。

その線が、時に折れてもいい。 それが、問いを生むなら。 それが、次の選択を深めるなら。

僕は、損失を抱えたまま、 より深く、より静かに、 “線をつなぐ旅”を続けている。

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