数日後、株価は動いた。 下がった。 静かに、確実に。 まるで、誰かが息を潜めて売っているようだった。
僕は、画面を見つめた。 数字は嘘をつかない。 でも、数字はすべてを語らない。
“裏ルートもある”──その言葉が、頭をよぎった。 あの男は、何を見ていたのか。 僕は、何を見落としていたのか。
空気感は、整っていた。 数字も、整っていた。 でも、“線”がつながっていなかった。 それは、僕の読み違いだったのか。 それとも、情報の断層に飲み込まれたのか。
投資とは、確率のゲームだ。 でも、確率は“過去”の集積であって、 “未来”の保証ではない。
僕は、売らなかった。 損切りでもなく、信仰でもなく。 ただ、観察した。 この下げが、どこへ向かうのか。 この線が、どこで折れるのか。
そして、気づいた。 僕が買ったのは、銘柄ではなく、 “問い”だったのだ。
↓↓ランキングUP用にイイネ・クリックお願いいたします。

にほんブログ村
コメント