3.15 記憶の編集

第3章 アジア各地での投資と生活
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3.15 記憶の編集
—過去をたどり、未来を編む—

東京の午後。 書斎の窓から差し込む光が、旅のノートのページを柔らかく照らしていた。 トシ先生は、静かに椅子に腰かけ、過去の記録を一枚ずつめくっていた。

カンボジアの市場で出会った果物売りの少年。 ラオスの山間で聞いた、僧侶の言葉。 ベトナムの古都で見た、雨に濡れる石畳。

それらの記憶は、写真でも文章でもなく、風のように先生の中に残っていた。 だが今、先生はそれらを“編集”しようとしていた。 記録ではなく、意味として。

「記憶は、ただ蓄積するものではない。 それは、選び直すことで、未来に繋がるものになる」 先生は、そう呟きながら、ノートの余白に小さく書き加えた。

「旅とは、記憶の再構築である。 そして、再構築された記憶は、次の問いを生む」

机の隅には、田村さんからの手紙が置かれていた。 その文字は、時間の中で少し色褪せていたが、言葉の温度は変わらなかった。

「余白を探す旅」 先生は、その言葉を何度も心の中で繰り返した。

次の旅の行き先は、まだ決まっていない。 だが、先生の中には、すでに“方向”が生まれていた。 それは、地図には載っていない場所—— 人と人の間にある、静かな空間。

その夜、先生は古いバックパックを取り出し、旅の準備を始めた。 荷物は少ない。 ノート、ペン、薄手のシャツ、そして、田村さんの手紙。

「今度の旅は、誰かに会うためではなく、誰かの“気配”に触れるための旅になる」 先生は、そう思った。

そして、翌朝。 東京駅のホームに立った先生は、飛行に乗った。 行き先は、バリ島のサヌール、そこには、かつて旅の途中で出会った、ある老画家のアトリエがあった。

風は、まだ吹いていた。 それは、記憶の中の風ではなく、今ここにある風だった。

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